2019.12.7 知識
イワシ缶詰に育毛効果が!?TVで話題の薄毛対策を検証
以前TVでも話題になりましたが、「イワシ缶を食べ続けると薄毛が改善する」という話があります。「青魚を普段から口にする漁師には薄毛の人が少ない?」という事実を受けて某TV番組が企画し、2ヶ月半もの間イワシ缶を食べ続けた被験者(お笑い芸人)の薄毛症状が一定程度改善されたためです。
髪が薄くなってきた男性や、ボリューム低下が起こり始めた女性には少し気になる話ではないでしょうか?当コラムで改めて「イワシ缶の薄毛予防効果」についてご紹介したいと思います。
イワシに豊富に含まれる「EPA」が薄毛予防の鍵!
イワシにはEPAと呼ばれる「エイコサペンタエン酸」が豊富に含まれています。これは、脂肪酸の中でも「n-3系(オメガ3系)脂肪酸」に分類され、ヒトの体内では合成することのできない必須脂肪酸となっています。
脂肪酸の種類
飽和脂肪酸(ミリスチン酸、バルミチン酸、ステアリン酸など)
不飽和脂肪酸
一価不飽和脂肪酸(バルミトレイン酸、オレイン酸など)
多価不飽和脂肪酸
n3系多価不飽和脂肪酸 | α-リノレン酸、エイコサペンタエン酸=EPA、ドコサペンタエン酸=DHA、ドコサヘキサエン酸など |
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n6系多価不飽和脂肪酸 | リノール酸、γ-リノレン酸、アラキドン酸、ジホモ-γ-リノレン酸など |
脂肪酸は上記のようにいくつかの種類に分類されています。一般的には「飽和脂肪酸」はコレステロールを増やし、「不飽和脂肪酸」はコレステロールを減らすという認識になっていると思いますが、ステアリン酸のように善玉コレステロール(HDL)の働きを促し、悪玉コレステロール(LDL)を減らす飽和脂肪酸もありますので、一概に飽和脂肪酸がダメだと言い切れるものでもありません。
当コラムのテーマ「イワシ」に関して言えば、「n3系多価不飽和脂肪酸」に分類されるEPAが豊富に含まれています。摂取することで「血液サラサラ効果」が期待できるため、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患に有効だとされています。EPAはイワシ以外にも青魚に多く含まれていることを覚えておくと良いでしょう(たとえば、マグロ、サバ、マダイ、ブリ、サンマなどで摂取することが可能です)。
EPAは毛根への栄養供給にも貢献!?
血流に滞りがない状態というのは、心疾患のリスクが低いだけではなく、実は「毛髪に栄養素が行き渡りやすい頭皮環境であること」をも意味しています。逆に言うと、血流低下によって毛細血管が狭まっていけば髪が育ちにくくなるため、抜け毛が増えたり薄毛が進行しやすくなってしまいます。
TV番組「名医のTHE太鼓判!」で着目していたのは、「漁師に薄毛の人は少ない」という事実です。ここから「EPAが豊富な青魚を普段から口にしているためではないか?」という仮説が成り立ち、これを検証するためにイワシ缶を毎日食べるという実験が行なわれたわけです。番組内では「我が家」の坪倉さんが被験者になり、2ヶ月半毎日イワシ缶を食べ続けた結果、薄毛症状が一定程度改善していきました。
著作権の関係上、ここにイワシ缶生活の前後を比較する頭皮画像を掲載することはできませんが、中性脂肪の値やLDLコレステロール値の高い薄毛患者さまの場合には、イワシ缶によって血流が改善し、薄毛を予防できるケースがあると言えそうです。
EPAを摂るには缶詰が効果的?
EPAは熱に弱いという特徴があります。つまり、焼き魚にしてしまうとせっかく豊富に含まれているEPAも減ってしまいます。また、焼いている間に脂が落ちてしまうという問題もあります。このため、EPAを効率よく摂るのであれば、刺身やお寿司、イワシを入れたつみれ汁などが良いということになります。
ただし、手軽に摂るとなるとやはり少しハードルが上がりますので、「イワシの缶詰」が効果的だというわけです。イワシの缶詰は生のイワシを入れた後から熱処理をしており、脂分もしっかりと閉じ込められていることから効率よくEPAを摂取できます。
n3系脂肪酸の食事摂取基準:18歳以上の男性で2,000~2,400mg(厚生労働省)
厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準(2015年)」によると、EPAを含むn3系多価不飽和脂肪酸の1日の摂取量目安は次のようになっています。
n3系多価不飽和脂肪酸の食事摂取基準(厚生労働省)
- 18歳以上の男性…1日目安 2,000mg~2,400mg
- 18歳以上の女性…1日目安 1,600mg~2,000mg
年齢によって多少異なりますが、成人男性であれば2,200mg程度、成人女性であれば1,800mg程度を目安に考えておけば良いでしょう。ちなみに、1缶200gのイワシ缶には5,000mg以上ものEPAが含まれています。小さめのイワシ缶(100g)を選択した場合でも2,000mg強のEPAが含まれているため、1缶を一人で全て食べてしまうと少し摂り過ぎになってしまう可能性があります。
テレビ番組の企画では多少無茶な設定がなされているケースもありますので、イワシ缶をご飯のお供にして日々小まめに摂取したり、食卓に定期的に青魚を出すようなスタイルが現実的だと思います。イワシはEPAだけでなく、髪の三大栄養素の一つである「亜鉛」も豊富に含まれています。薄毛や抜け毛に悩む患者さまにはおススメしたい食材の一つになりますので、ぜひうまく食生活にお取り入れください。
薄毛の根本原因を封じるには「AGA治療(内服治療)」が効果的!
当コラムでは、イワシに含まれるEPAの血液サラサラ効果についてご紹介し、薄毛予防にも一定程度効果がある旨をご案内しました。しかしながら、実際に今深刻な薄毛症状に悩んでいる場合には、食生活による血流改善だけでは明確な発毛までは期待できないのが一般的です。
特に成人男性が陥りやすい男性型脱毛症(AGA)の場合には、内部的に遺伝メカニズムが働いているのがほとんどで、前頭部や頭頂部にジヒドロテストステロン(DHT)が増えてしまうことで髪が発育しにくくなっていることが原因と考えられます。
AGA治療薬なら、ジヒドロテストステロン(DHT)の発生を抑制可能!
AGA治療薬にもいくつかの種類がございますが、男性型脱毛症(AGA)患者さまの場合にはジヒドロテストステロン(DHT)の産出自体を抑制することが急務になっています。「フィナステリド」という成分の含まれるプロペシアという治療薬には、頭皮上で繰り返される次のようなプロセスを抑制してDHTの産出量を抑える働きがあります。
悪玉男性ホルモン(DHT)の生成プロセス
善玉男性ホルモン(テストステロン)+5αリダクターゼ(還元酵素)→ジヒドロテストステロンの発生
プロペシアを日々服用していただければ、血流に乗って毛根部分にやってくるテストステロンが還元酵素の作用を受けて悪玉の男性ホルモン(DHT)に変換されてしまうのを抑えることが可能です。「髪が育ちにくい…」という根本原因に働きかける医学的にエビデンスのある治療法になりますので、イワシ缶の摂取と比較するとより顕著な効果が期待できるでしょう。
また、血流の改善という意味では「ミノキシジル」という内服薬もご用意しており、患者さまにとってベストなオーダーメイド治療薬をご提供することも可能です。当院では、随時「無料カウンセリング」をご提供していますので、どうぞお気軽にご相談ください。スタッフ一同皆さまのご相談をお待ちしております。