2019.10.28 知識
薄毛の原因はホルモン! 影響するホルモンは男女で違う?(男性編)
私たちに薄毛をもたらすのは、脱毛のメカニズムを考えたとき「男性ホルモン」や「女性ホルモン」が主体となっています。髪への栄養バランスなどももちろん関係ありますが、脱毛作用や毛髪の弱体化を引き起こすのは本質的にホルモンだと捉えるのが正解です。
ただし、男性の場合、女性の場合で影響してくるホルモンや薄毛メカニズムが少し異なります。男女によって起こる薄毛メカニズムはどう違うのか、その傾向を踏まえた上でそれぞれの対策についてご紹介いたします。
男性の薄毛要因である「男性ホルモン」について考える
当コラムでは、男性の薄毛化症状の原因となっている「男性ホルモン(テストステロンやジヒドロテストステロン)」についてご紹介し、その影響を抑えるための対処法などをご紹介します。
【男性の薄毛化】男性ホルモンの変化(DHT)が原因
男性ホルモンと言うと、代表的なものが「テストステロン」です。男性ホルモン全体の95%以上を占めますので、男性ホルモンの大部分はテストステロンと考えても良いでしょう。一言でいうと「男性を男性らしくするホルモン」であり、主として睾丸で作られ血流にのって全身を巡っています。
男性ホルモン(テストステロン)の作用
- 思春期に陰毛を生やしたり男性器の発育を促す
- 筋力強化を促し、強靭な肉体を形成することに貢献する
- 精子を作り、性欲の高まりに作用する
- 前向きな闘争心や覇気、ポジティブな決断力をもたらす
- ヒゲや体毛の発育を促す
第二次性徴期では強く「生殖能力の形成」に寄与しますが、その後は肉体面だけでなく精神面でも「強さ」や「頼もしさ」に貢献してくれるのがテストステロンです。また、「ヒゲや体毛の発育」を促すことも重要です。男性の薄毛化は男性ホルモンが原因だと言われるのに、テストステロン自体は発毛を促す作用があるのです。
「テストステロン」が毛髪に作用する前に変化してしまうことが問題
「男性の薄毛化」が生じやすい生え際(M字箇所)や頭頂部には、「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素が存在します。この還元酵素は、血流に乗って頭皮の毛細血管にまで辿り着いた「テストステロン」を「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼ばれる悪玉男性ホルモンに代謝してしまう可能性を帯びたものです。以下のように、5αリダクターゼ(還元酵素)がテストステロンと結合してしまうと、ジヒドロテストステロン(DHT)と呼ばれる別の男性ホルモンが形成されてしまいます。
ジヒドロテストステロン(DHT)が生まれるプロセス
5αリダクターゼ(還元酵素) + 男性ホルモン(テストステロン) → ジヒドロテストステロン(DHT)
男性ホルモンの代表格である「テストステロン」自体は髪に発毛というポジティブな作用をもたらすものですが、「5αリダクターゼ」と結びついてしまうと、ヘアサイクルにネガティブな作用を与える「ジヒドロテストステロン(DHT)」に生まれ変わってしまうのです。
イラストにあるように、毛髪が「軟毛化」してしまいます。テストステロンもジヒドロテストステロンもどちらも男性ホルモンに違いないため、特に「毛髪への作用」を考えるときに前者を「善玉の男性ホルモン」とし、後者を「悪玉の男性ホルモン」と呼んだりすることがあります。このようなことで、「男性型脱毛症(AGA)」は男性ホルモンが原因となっている薄毛症状だと案内されるわけです。
DHTは具体的に何をどうする?
悪玉男性ホルモンの「ジヒドロテストステロン(DHT)」は、頭皮上の髪1本1本のヘアサイクルを極端に短縮させてしまう作用を持っています。本来、生えてきた髪1本1本は2年~6年ほど成長する期間を有しており、この間を経て成長が終わり、やがて抜け落ちるというサイクルになっています。ところが、毛根部分に悪玉男性ホルモンのDHTが作用してしまうと、その髪の毛はわずか数ヶ月しか成長できずに直ぐに「退行期」、そして「休止期」へと移行してしまいます。
私たちの髪は、健康な場合も日々50本~100本程度抜け落ちていますが、概ね10万本程度あるために見た目に大きな変化はなく維持されています。ところが、イラストのように「成長期」が短縮させられた髪の毛が増えてしまうと、その箇所でやはり薄毛が目立ってきてしまいます。先にご説明したように、前頭部(生え際)や頭頂部には「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素が潜んでいますので、善玉の男性ホルモン(テストステロン)を悪玉の男性ホルモン(DHT)に代謝してしまう可能性があります。
そして、この「5αリダクターゼ」がどの程度存在するのかについては、遺伝的に受け継がれる傾向であることがわかっています。このため、どれだけ健康的な生活習慣を維持してきても、遺伝的に「ジヒドロテストステロン(DHT)」が多く形成される体質で生まれてきた男性の場合には、やはり薄毛化する確率は極めて高くなってしまうというわけです。
対策:AGA治療薬でDHTの発生を抑制する!
前頭部や頭頂部に存在する「5αリダクターゼの量」については、遺伝なので多く受け継いでしまった場合にはそれと付き合っていくしかありません。放っておくと、自ずとジヒドロテストステロン(DHT)が量産されてしまいますので薄毛化リスクが高まります。しかし、AGA治療薬の中には「5αリダクターゼ」の活動を抑制する作用を持ったものが存在します。
「プロペシア」と呼ばれるお薬に含まれる「フィナステリド」と呼ばれる成分がそれで、このような治療薬を日々服用していけば「5αリダクターゼ」を多く生まれ持った場合も「ジヒドロテストステロン(DHT)」が量産されにくくなっていきます。成人以降の男性が陥りやすい「男性型脱毛症(AGA)」には、ご紹介したように薄毛化が引き起こされる明確な内部プロセスがございますので、そのプロセスを踏まえたうえで対処していくことが重要です。
医学的に有効なお薬で早く手を打てば打つほど、ジヒドロテストステロン(DHT)の影響が生じにくくなりますので、「なんだか薄くなってきたような…」とお感じの際はお早めに専門医を受診してください。
薄毛は病院で治療することが一番有効です。
当コラムでは、男性の薄毛化要因とその対策を「善玉の男性ホルモン(テストステロン)」と「悪玉の男性ホルモン(ジヒドロテストステロンDHT)」に絡めてご紹介しました。「ジヒドロテストステロン(DHT)」が代謝されやすいかどうかは遺伝的な要因が影響するため、明確な治療薬こそ有効だという趣旨になっていたかと思います。
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当院では「男性型脱毛症(AGA)」や「女性男性型脱毛症(FAGA)」だけでなく、「円形脱毛症」などの突発的な薄毛症状のご相談も受け付けております。「無料カウンセリング」にてご相談可能ですので、ご予約のうえお気軽にご来院ください。