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毛根の死滅は発毛力の消滅?薄毛進行で髪は生えなくなるの?

毛根

頭皮の地肌がかなり露わになっているケースを目の当たりにすると、「毛根が死滅するともう髪は生えなくなってしまう…」とお感じになるかもしれません。薄毛化が進行すると、発毛シグナルを受け取る「毛母細胞」自体も減少してしまいますので、専門的な治療を施した場合も明確な改善は期待しづらくなってしまいます。治療が無駄というわけではないですが、やはり薄毛化の対処は早ければ早いほど有効です。その理由についてわかりやすく解説いたします。


「毛根の死滅」は再発毛の可能性を縮小させる…

死滅

「毛根の死滅」と言うと非常にアバウトな表現になりますが、薄毛化が進行していくと毛母細胞の数も徐々に減っていき、髪の毛が生える可能性が縮小していきます。頭皮上で多くの地肌が見えている状態というのは、一つひとつの毛穴がバランスよく活動できておらず、本来髪を伸ばすはずの毛穴で「毛母細胞」の分裂が極端に抑制されたり、「毛母細胞」自体が少なくなってしまっている状態です。

「毛根の死滅」という段階については、どちらかと言うと後者の状態を指し、発毛指令を届ける受け手(=毛母細胞)自体が限りなく減少している段階だとお考えください。わかりやすく薄毛の状態と毛根の活動状態を図式化して整理してみましょう。


薄毛化の各段階と毛根の状態

薄毛段階 見た目の印象 毛根の状態
初期 前頭部や頭頂部がやや薄くなり、本人レベルでなんとなく弱々しい毛(=軟毛)が増えたような印象を抱く 「成長期→退行期→休止期」といったヘアサイクルが乱され始め、毛根奥にある「毛母細胞」の分裂が抑制され始めている(「成長期」が極端に短くなる毛穴が出始めている)
中期 前頭部や頭頂部の髪の量が相対的に薄いことが誰の目にも確認できる 前頭部や頭頂部の大部分の毛根でヘアサイクルが乱され(成長期が短縮し)、これが持続していくことで「毛母細胞」自体が徐々に減り始めている
後期 前頭部や頭頂部の地肌がかなり露わになっており、薄毛を隠すことも困難な状態にある 前頭部や頭頂部の毛根でヘアサイクルの乱れが定着してしまい、「毛母細胞」自体が極端に少なくなってきている(発毛指令の受け手が明確に減少してきている)

※上記はあくまでも一般的な類型をわかりやすく整理したものです。実際の薄毛進行については、患者さまごとに薄くなる部位や進行速度などが異なります。


「毛母細胞」が減ってしまってからでは対処が困難…

毛母細胞自体が極端に減ってしまう段階は、薄毛化が意識され始めて「直ぐ」ということはございません。どちらかというと、「男性型脱毛症(AGA)」は徐々に着実に進行していくものであるため、「ゆでガエル」のように対処が遅れがちになってしまうことが問題だと言えます。誰しも1日1回くらいは顔を洗って鏡を見ると思いますが、昨日の頭髪と今日の頭髪に細かな違いを見つけることは困難です。

しかしながら1ヶ月もすると髪がもっさりとしてくるように、やはり毛髪の変化(成長や減退)は日々着実に起こっています。このため、本人レベルで「あれ?薄くなってきたような…」と思ったときには、内部的にある程度明確な動きが出始めている時期かもしれません。「気のせいだろう…?」と自分に言い聞かせるのではなく、一度専門の医師を尋ねてみることがその後の薄毛進行を後退させる(あるいは遮断する)ために重要だと言えます。


男性型脱毛症(AGA)は、遺伝傾向だから回避は困難?

男性型脱毛症(AGA)

ここでは、もう少し専門的に「男性型脱毛症(AGA)」の発動プロセスをご紹介いたします。よく「薄毛は遺伝する」と言われますが、これはかなりの部分真実を付いています。遺伝的には、「5αリダクターゼ」と呼ばれる還元酵素の量が受け継がれ、これが多いと「ジヒドロテストステロン(DHT)」と呼ばれる悪玉男性ホルモンが量産されてしまいます。

また、毛乳頭付近に存在する「アンドロゲンレセプター」の感度も遺伝的な傾向と言われており、この感受性が高いとDHTの攻撃に敏感に反応してしまいます。このような結果、前頭部や頭頂部でヘアサイクルが乱されやすくなってしまい、髪が成長するはずの「成長期」が短縮して軟毛化が進んでしまうのです。

順を追って解説すると以下のようになります。

AGAの発動プロセス(メカニズム)

  • 1. 血流に乗って全身を巡っている「男性ホルモン(テストステロン)」が、前頭部や頭頂部に存在する「5αリダクターゼ(還元酵素)」と結びついてしまう
  • 2. 本来、発毛を促すはずの「男性ホルモン(テストステロン)」が、悪玉の男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」に代謝されてしまう
  • 3. 毛根の奥にある毛乳頭付近に存在する「アンドロゲンレセプター」がDHTの影響力を受容してしまう
  • 4. 髪1本1本が持つヘアサイクルが乱れて、本来通り髪が成長できずに軟毛化してしまう
    ・ 通常のヘアサイクル:成長期(2年~6年)→退行期(2週間)→休止期(3~4ヵ月)
    ・ AGAのヘアサイクル:成長期(数ヵ月~1年)→退行期(2週間)→休止期(3~4ヵ月)
  • 5. 弱々しい髪(軟毛)や抜け毛が多くなってしまい、薄毛症状が顕著になってくる

遺伝傾向の「5αリダクターゼ」と「アンドロゲンレセプター」に着目!

諸悪の根源は、ヘアサイクルを乱してしまう「ジヒドロテストステロン(DHT)」ですが、これが作られる前段階で一つ目の遺伝的要因(「5αリダクターゼの量」)が関与しており、またDHTが産出された後でもその影響をどれだけ受け取るかという意味で2つ目の遺伝的要因(「アンドロゲンレセプター」の感受性)が関与してきます。これらが両方受け継がれていると、もれなく薄毛化を起こしやすいということになってしまいます。

逆に言うと、このバランス次第では一方を帯びていてもあまり顕著に薄くならないということも起こり得ます。「5αリダクターゼの量」は両親から受け継ぐ優性遺伝と言われており(どちらか一方でも多い傾向を帯びているとそれが優先的に受け継がれる)、「アンドロゲンレセプターの感受性」については母方から受け継ぐ遺伝情報だということがわかっています。女性の場合には、女性ホルモン優位という条件で男性のような明確な薄毛化は起こりにくいため、実際には母方の祖父(母親の父)の頭髪の状態を確認することが「アンドロゲンレセプターの感受性の高さ」を知る手掛かりになります。

いずれであっても、遺伝的な体質となっているため、それが受け継がれている場合にはどれだけ生活習慣を整えてみても、どれだけ念じてみても、内部的に動き出している薄毛化プロセスを根本から食い止めることは困難です。


唯一の治療法がAGA治療薬

食生活に気を配ったり睡眠習慣を整えるなど…生活習慣全般を整えることはもちろん大切ですが、特に男性型脱毛症(AGA)の場合には遺伝的な傾向として「抗えないメカニズム」が受け継がれていることが重要です。つまり、小手先の調整をしてみたところで内部のメカニズムをどうにかしなければ薄毛化を食い止めることはかなり困難だということになります。


AGA治療薬だとDHTの発生を抑制できる!

AGA治療薬にはいくつかの種類がございますが、「フィナステリド」という成分が配合されたプロペシアという治療薬に関しては、善玉の男性ホルモン「テストステロン」と「5αリダクターゼ(還元酵素)」の結びつきを抑制する作用があることが医学的に立証されています。

悪玉の男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」はこれら両者の結びつきによって産出されるものになっていますので、この工程をブロックすることで薄毛化に影響を与える要因を減少させることができるのです。また、「フィナステリド」の作用を取り込みつつ、血流を改善するお薬「ミノキシジル」を併せて服用すれば、ダブルの効果で発毛力の回復を狙いやすくなっていきます。

ただし、これも薄毛化が過度に進行した後では前向きな効果が得にくくなりますので、やはり早期治療が大切になります。


お早めに「無料カウンセリング」へお越しください

カウンセリング

「自分もいずれ薄毛が顕著になるかも…」という将来像については、誰しもあまり考えたくないものです。しかしながら、当コラムでご紹介したように薄毛男性の多くが陥っている「男性型脱毛症(AGA)」は遺伝的傾向に他なりませんので、放っておいても解決することはありません。

前半部分でご紹介したような「薄毛段階の後期」にあっては、毛根奥の毛母細胞自体が死滅してしまい再発毛を働きかけるのが困難になってしまいます。逆に少し薄毛化が意識され始めたような「薄毛段階の初期」においては、発動してしまった薄毛化メカニズムをお薬の力で食い止めることも無理なく実現できます。

早期発見&早期治療がもっとも大切な対処法になりますので、薄毛が気になり始めたという男性はぜひお早めに当院までご相談ください。「無料カウンセリング」にて皆さまをお待ちしています。