2019.6.3 成分
なぜ効くの?フィナステリドの効果を解説
「フィナステリド」薄毛に悩む方であれば一度は耳にされた言葉かもしれません。というのも、日本において薄毛治療をしていく場合、「フィナステリド」はほとんどのクリニックで採用されているAGA(男性型脱毛症)の治療成分だからです。
高い効果が期待できる一方、服用に当たり注意しておくべき事柄もあります。ここでは「フィナステリドの効果」や「薄毛に働きかけるメカニズム」そして「服用時の注意事項」などをまとめてご紹介します。
フィナステリドって何ですか?
「フィナステリド」はAGA(男性型脱毛症)の治療成分です。医師が処方する内服薬で、長期間服用を続けることで薄毛を抑える効果があると認められているものです。
「フィナステリド」は元々「前立腺肥大症」の治療薬とされる成分で、それを服用した患者の中に薄毛が治まったという声が上がったことで、薄毛への予防効果があることが発見されました。このことはフィナステリドの副作用とも関連性がありますので、頭の片隅に留めておくと良いでしょう。
フィナステリドが「効く」メカニズムとは?
まず、なぜ薄毛になるメカニズムを知ろう!
薄毛は男性ホルモンの影響
薄毛は、男性ホルモンの影響を受け進行することが分かっています。男性ホルモンとは男性を肉体的にも思考的にも男性らしく成長させるもので、種類としてもいくつかのものがあります。
男性ホルモンの中でも代表的な存在が「テストステロン」
全男性ホルモンの内の95%以上を占めるとされるものに「テストステロン」と呼ばれるものがあります。性欲を高めたり、精子を作るように働きかけたり、男性的な思考(闘争心や冒険心、判断力、決断力、やる気)、男性らしい体格、筋肉、ひげや体毛の成長などにも影響を与えます。「ひげや体毛?…なのに薄毛に影響??」と思うかもしれません。次をご覧ください。
「テストステロン」は「Ⅱ型5αリダクターゼ(還元酵素)」により変化する
テストステロン自体は男性にとって、なくてはならないホルモンなのですが、これが頭皮(特に前頭部や頭頂部)の毛乳頭から分泌される還元酵素「Ⅱ型5αリダクターゼ」と結びつくと、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という別の男性ホルモン(悪玉男性ホルモン)に変化します。
「ジヒドロテストステロン(DHT)」になるとどうなるの?
「テストステロン」が「DHT」へと変貌を遂げた後は髪の毛の発育を阻害してしまいます。このようなことから、一見毛深く男っぽい人(多くのテストステロンを分泌する人)ほど、相対的に悪玉のDHTも生成しやすくなり、「毛深いのにハゲる」というようなことが起こるわけです。
フィナステリドの作用(善玉→悪玉の流れを阻止!)
フィナステリドは、男性ホルモン「テストステロン」と還元酵素「Ⅱ型5αリダクターゼ」の結合を阻害する作用をもたらします。薄毛を誘発するものが既に「DHT(ジヒドロテストステロン)」という悪玉男性ホルモンであることがわかっているので、その前段階で、善玉の「テストステロン」と「Ⅱ型5αリダクターゼ」が結合するのを抑制し、DHTそのものの生成を抑えようというわけです。
フィナステリドに期待できる効果(薄毛改善・脱毛抑制)
フィナステリドの効果は「薄毛になっていく症状を食い止めること」「脱毛を抑えること」だということです。世間一般的に「フィナステリドは効く」→「ハゲが治る」→「髪が生えてくる」というようなイメージで、「フィナステリド=発毛効果」のように誤解されている場合がありますが、理論的に考えればわかる通り、フィナステリドには直接的な発毛効果はありません。発毛を狙う場合は、また別の成分が必要になります。
薄毛改善の効果が実感できるまで…
フィナステリドは服用から直ぐに薄毛が治るわけではなく、実際に薄毛が減ったと効果を感じるのは、目安として「半年程度」必要と言われています(人により数ヶ月で効果を感じる場合もあります)。この間、継続的に服用を続ける必要があることから、「飲んで即実感!」のような夢のお薬ではないことは理解しておく必要があります。
フィナステリドの副作用は?
初期脱毛!?(ヘアサイクルを正しい状態に導くための作用です)
フィナステリドを飲むまで、DHTという悪玉男性ホルモンの影響を受け、毛根の奥にある「毛母細胞」は髪を育てるという本来の働きを阻害されていました。そこにフィナステリドが作用することで、DHTの悪影響から解放された「毛母細胞」は、本来通り正しく豊かに髪を育てようとし始めます。
しかし、正しく活性化し始めた毛母細胞の作用を真っ先に感じ取るのは、既にDHTから攻撃を受けて「くたびれてしまっている弱った髪の毛」です。このため、抜け落ちずにかろうじて留まっていたような髪の毛に対しては、早期に抜け落ちていくような作用をもたらし、新しい毛を下から押し上げようという働きになっていきます。このような結果、抜けた後に生えてくる新しい髪の毛に対しては、「毛母細胞」は本来の豊かな働きかけを行なっていけるので、髪が健康に成長していくという流れになります。
このメカニズムが分かれば、「初期脱毛」は誰しもが通過する過程であり、致し方ないものだとご理解いただけると思います。「初期脱毛=副作用」とすること自体が、本体の意味では正しいとさえ言えないかもしれません(これは、薬が効き始めた証拠だから)。
初期脱毛ってどれくらい続くの?
一般的には服用を始めて1週間程度で症状が出始め、1ヶ月以内くらいで治まる場合が多くなります。ただし、これはあくまで平均値に過ぎず、その人の毛髪の状態や体質によっても異なります。短い人で2週間以内には収まり、長い場合2ヶ月程度続いたという人もいます。
いずれにしても、この「初期脱毛」は薬が作用していることの証とも考えられますので、ヘアサイクルが安定するまでは、じっくりと耐え忍ぶ必要があります。
男性機能不全!?
フィナステリドは「前立腺肥大症」の薬という経緯があることや、「テストステロン」という男性ホルモンとの相互作用も考えられることから、ごく稀に男性機能に影響を与えるという副作用が報告されています。
フィナステリドを服用してはいけないケース
女性
フィナステリドは女性には効果が認められていません。また「妊婦」は錠剤に触れることもNGとされます。皮膚から成分を吸収してしまうリスクもありますので、自分(ご主人)が服用を開始する場合は、家族(奥様)などにも伝えておくことが必要です。
未成年
まだ発育段階にある未成年に対しては、安全性と有効性が確立されていないため、服用を避けてください。
肝機能障害がある人
フィナステリドは肝臓で代謝されるお薬です。服用中に肝臓の酵素が上昇した報告があります。肝機能障害のある方は医師にご相談ください。
フィナステリドは効果のあるお薬(ただし専門医でご相談を!)
最近ではジェネリック医薬品などを個人輸入で販売する業者も出てきていますが、薬である以上リスクや副作用は少なからず存在します。特に個人で輸入販売されている薬の品質面まで考えると、このようなものに手を付けてしまうのはリスクの大きすぎる浅はかな判断だと言わざるを得ません。
確かな効果が認められている薬だからこそ、万全の注意を払い、医師の案内する用法と用量を守っていただくことが大前提だと言えます。当クリニックでは、こういった部分にも配慮しながら、ご相談にいらした患者様の症状や生活環境を伺い、それに応じて最適な治療法をご提案させていただいております。多くの患者様から喜びの声をいただいておりますので、どうぞお気軽にご相談ください。