2019.6.2 女性
【20代・30代】急増する若い女性の薄毛について
薄毛、一見男性特有の悩みのように感じられますが、実は近年「薄毛に悩む女性」が増加してきています。しかも、これは年配の女性に限らず、若者の女性の間でも広がる現象として知られるようになってきました。ここでは、こういった女性の薄毛、とりわけ「若者女性の薄毛」を取り上げ、その原因と効果的な対処法についてご紹介いたします。
女性の薄毛に多い「びまん性脱毛症」の特徴
びまん性脱毛症とは?
「びまん性」とは医学用語として「病変がはっきりと限定できず、広範囲に及ぶもの」ものという意味があります。このことからも「びまん性脱毛症」とは、症状として「頭全体にまんべんなく薄毛になっていくもの」と捉えることができます。例えば、男性のような特定の部位に現れやすい「M字ハゲ」や「つむじハゲ」とは異なり、全体的に髪が細く痩せていきボリュームが落ちていくのが特徴です。
このような症状が女性の薄毛に多いことから、女性の薄毛を全て「びまん性脱毛症」と一括りにする場合もありますが、厳密には「女性の薄毛=びまん性脱毛症」ではありません。ただし、女性に多く現れやすい薄毛の症状だと言うことはできます。
女性の薄毛は高齢者だけでなく若者にも拡大!?
びまん性脱毛症という言葉の拡がり=若者女性の薄毛増加
年齢を重ねるごとに、通常一本一本の髪のコシは衰え、髪全体のボリュームダウンは進みます。これは程度の差ことあれ、高齢になれば誰にでも出てくるものです(老人性脱毛症)。では「老人性脱毛症」と言わず、わざわざ「びまん性脱毛症」という言葉を当てるのはなぜかと言えば、こういった「髪全体での薄毛症状」が近年「若者の女性」の間で多く広がり始めたからです。両者は症状としては似通ったものですが、そこに至る経緯はやはり少々異なります。よって、まだ20代や30代などの女性に対しては「びまん性脱毛症」として診断し、その改善法をお伝えするということになります。
若者女性の薄毛が増加している原因はなに?
女性ホルモンの乱れが根源!
本来、薄毛になりにくいはずの女性が薄毛になってしまう原因は、本質的に「女性ホルモンの乱れ・低下」に因ります。男性は女性ホルモンよりも男性ホルモンが多いため、潜在的に薄毛やハゲの症状が現れやすいという特徴があります。逆に女性が相対的に薄毛になりにくいのは、男性ホルモンよりも女性ホルモンを多く保有しているためです。
「男性ホルモン」の中には「薄毛と結びつきやすい要素」があり(ジヒドロテストステロンのDHTが増えると抜け毛が多くなる)、「女性ホルモン」の中には「髪を豊かに保つ成分」が含まれている(エストロゲンが多いと綺麗でしなやかな髪になる)という事実があります。このことから、女性ホルモンの多いはずの女性が薄毛に陥るのは「加齢による女性ホルモンの低下」か、何らかの原因で「本来分泌されるはずの女性ホルモンの量に乱れが生じているため」と言う可能性が大きいです。結果として、相対的に男性ホルモンの作用が強まることになり、女性でありながらも薄毛を引き起こしてしまうというわけです。
若者女性のホルモン分泌が乱れる原因を考える
生活習慣の乱れ(睡眠不足)
「睡眠不足」で生活習慣が乱れてくると、身体のメンテナンスが通常通りに行われなくなってしまいます。特に「眠りはじめの3時間」は、新陳代謝やホルモン分泌にも大きな関係があるため、これを疎かにしてしまってはお肌の質感だけでなく髪にも悪影響が出てしまいます。
たっぷりとした睡眠時間の確保が難しい場合でも、最初の3時間の良質な睡眠は最低限心がけるようにしてください。また「昼夜逆転」のような生活スタイルも、同様に体のメンテナンス機能に悪影響を与えことで知られています。
食生活の乱れ(ダイエット)
「ダイエット」などで栄養摂取に制限が加わると、ホルモンの分泌にも乱れが生じます。さらに髪そのものをつくるための「タンパク質」や「ビタミン」「ミネラル(亜鉛)」が不足すると、当然のことながら髪がやせ細っていきます。このようにダイエットは二重の意味で髪に悪影響を及ぼしますので、特に注意が必要です。
ストレス(女性の社会進出)
女性の社会進出に伴い、以前と比較しても多くの女性がストレスにさらされやすい状況になってきています。家事育児のストレスとは違う職場での人間関係、また最近では家事育児と仕事の両立という立場の女性も増えてきています。ストレスに対抗できるのは「自分のための楽しみ確保」です。
どのような趣味でも良いですが、特に女性であればアロマや半身浴、エステなど、定期的に自分を癒せるゆったりとした時間の確保を心がけてください。
経口避妊薬(ピル)の使用
ピルの使用目的は何も避妊だけに限りません。生理痛の緩和や生理不順を整える場合などにも使われます。ピルの主成分は、卵胞ホルモン(エストロゲン)と黄体ホルモン(プロゲステロン)でできており、これを1日1錠飲むような形で人為的にホルモンの量を「排卵後から生理が来るまでの状態」もしくは「妊娠している時の状態」に保ちます。こうすると、これ以上排卵しないようにと身体は誤解して反応し、排卵がスットップ、結果として確実性の高い避妊が実現します。
このように、ピルは人為的にホルモンバランスを調整していることから、単発的なピルの飲み忘れや、一定期間のピルの服用と停止を不定期で繰り返してしまうと、本来の正常なホルモン分泌に影響を与えてしまう可能性があります。これらは概して、「短期的な乱れ」にはなりますが、その間一時的に「びまん性脱毛症」のような薄毛症状が出てしまうこともあります。
出産
産後、女性のホルモンバランスが乱れてしまうことは広く知られています。心身ともに直ぐに元の状態にはなかなか戻らないため、その間に体調不良や肌荒れ、むくみ、抜け毛などが生じることがあります。ご家族や友人などの周りのサポートも受けながら、栄養バランスの取れた食事を心がけていくことで、少しずつ本来の状態に回復していきます。ここで焦っては余計なストレスなどにもつながりますので、一ヶ月経過後くらいから徐々に軽い運動を取り入れるなどして、本来の自分を少しずつ取り戻していってください。
女性の薄毛は改善できる!
若い女性が「びまん性脱毛症」に至ってしまう原因や背景を考えていくと、改善させやすい要素が含まれていることがお分かりいただけたかと思います。出産やピルの副作用などのホルモンバランスの乱れは一概には対策できませんが、ごく日常的な「生活習慣の改善(食と睡眠)」や「ストレスの解消法の確立」は、意識して心がければ可能なものと言えるでしょう。
それでも医学的な見地から対策を講じた方が短期でスムーズに症状の緩和が見込めます。当クリニックでも、近年女性の薄毛のご相談が非常に増えてきております。ご来院いただければ経験と実績を元に適切な診断とアドバイスをさせていただきます。また、発毛効果が実証されている処方薬も症状に合わせてご提供させていただきますので、どうぞご安心ください。薄毛は男性固有の悩みという時代ではなくなってきています。お気軽に当クリニックに足をお運びください。