2019.9.8 悩み
最近増えている抜毛症?髪を引き抜いてしまう癖の原因と対策
時としてお子さまの頭皮に「髪の抜けた痕跡」を発見することがあるかもしれません。「何かの脱毛症かも…」と心配になって親御さまからご相談を受けることがありますが、よく見てみると「髪を自分で抜いていた…」という予想外の原因に辿り着く場合があります。
抜毛症(ばつもうしょう)と呼ばれる症状で、精神的なストレスなどが関係している場合が少なくありません。「自分で髪を抜いてしまう」という衝動をコントロールできない場合どのように対処していくべきなのか…、医療機関の立場からご案内いたします。
抜毛症(ばつもうしょう)ってこんな病気
抜毛症とは、抜毛癖やトリコチロマニアという別名でも知られ、自分で髪や体毛などを引き抜いてしまう症状を指します。まず、簡単にその特徴を確認してみましょう。
抜毛症の特徴とは?
抜毛症の症状や特徴
- 髪の毛を中心として、手の届きやすい箇所の体毛を自分で引き抜いてしまう症状である
- 「自分で抜いてしまっていること」を理解しつつ、無意識でも抜毛行為に及んでしまうことも多い
- 10歳前後の学齢期の女児に多く見られるが、成人で抜毛症を発症するケースもある
- 抜くことで満足感や解放感が得られるため、抜く行為が良くないことを知りつつも止められない
- 抜毛行為については自覚しており、他人にはあまり知られたくないと感じている場合が多い
- 一般的に家族以外の人前では抜毛行為を行なわない
抜毛症で対象となる「抜いてしまう毛」については、毛髪であることが多いです。ただし、髪の毛のみに限定した症状ではなく、抜毛症では眉毛やまつげ、あごひげなどの手の届きやすい箇所の毛がターゲットとなる場合も少なくありません。また、人によって他の部位の体毛を抜いてしまうこともあります。
「抜いてしまっていること」については、自覚のある場合と自覚のない場合が考えられますが、割合としては抜いていることを知りつつも、無意識でも抜いてしまっているような「混合型」が多いです。発症年齢としては学齢期や思春期初期に多く(平均発症年齢:10代前半)、性別としては女性に多く見られます。
「毛を抜くのはダメだ」と思っていても本人はその衝動を抑えることができず、抜くことによって解放感や満足感が感じられるような症状になっています。抜毛症患者の多くは、抜くことの快感とは裏腹にその障害(衝動)を恥ずかしいものと感じています。このため、脱毛班のような痕跡を帽子や化粧などで隠そうとする傾向も見られます。
また、家族以外の他人がいる場所では抜かないことも特徴として挙げられます(症状が軽いうちは家族にも隠していることがあります)。「自分で引き抜いてしまう…」という精神面での疾患となっているため、自然に抜け落ちてしまう脱毛症とは別の対処が必要になります。
抜毛症の原因は?
抜毛症を発症してしまう要因は実に様々です。完全にこれが原因だと特定することは難しいですが、ほとんどのケースで「ストレス」や「不安」が強く関わっていることが指摘されています。たとえばお子さまが家に一人で残されるような時間が多かったり、親子関係がうまくいっていないケース、あるいは大切な誰かを喪失したような場合に「毛を抜くこと」でそのストレスに対処(解放)している場合が多いです。
当初は、何かのきっかけで「毛を引き抜くこと」を始めてしまった場合も、その際の充足感が快感に変わってしまい、いつの間にか症状が慢性化してしまうケースもあります。
応急的な対策
抜毛症は心的なストレスが根底に潜んでいることが多いため、心療内科などに相談するのが本来のあり方です。ですが、家族や本人の工夫次第で多少なりとも「毛髪を抜く行為」を抑制する方法もあります。
抜毛症をブロックする工夫
- 髪を一つに束ねるなどして、手でつかみにくい髪型にする
- 予め爪を短く切っておく
- 一人になる時間をあまり作らないようにする
特にお子さまに抜毛症の症状が確認できた場合は、ご家庭での家族の協力が大切になってきます。本人も「良くないこと」とわかっているケースが大半ですので、抜きたくなるようなストレスを与えないようにケアしてあげることが大切です。
抜毛症の治療は信頼できる医療機関(心療内科)にご相談を…!
抜毛症は「衝動制御に関わる障害」の一種ですので、治療は心療内科などの精神科医に委ねるのが一般的です。毛髪の引き抜き行為だけでなく、爪を噛んだり皮膚をひっかくなどの行為が併発してくる場合もあるため、皮膚科医との連携で治療にあたる場合もあります。
親御さまの立場で「お子さまの抜け毛」を発見した場合、それが脱毛症なのか抜毛症なのかわからないケースがあるかもしれませんが、頭皮をよく観察するとどちらかを見分けるのはそれほど難しいことではありません。
抜毛症と脱毛症は、明らかに異なります
抜毛症と脱毛症の見分け方
- 抜毛症…頭皮を良く見ると、ちぎれた短い髪の毛が少なからず発見できる
- 円形脱毛症…頭皮上にキレイな円形の脱毛班が確認できる(正常部位との境目が明確)
- 脂漏性脱毛症…脂漏性皮膚炎を伴う抜け毛であるため、皮膚の赤みや炎症が確認できる
抜毛症の場合、自分で引き抜いてしまっている跡として「ちぎれた短い髪の毛」を頭皮上に確認することができます。引き抜かれた髪の多くは毛根から離脱するため一見すると脱毛班のように見えますが、よく見ると多少なりとも「引きちぎられた毛」が残っている場合が少なくありません。
一方、「円形脱毛症」の場合は正常部位との境目がはっきりしており、キレイに円形に脱毛班が確認できます。また、頭皮上に赤い発疹や炎症を伴っている場合は「脂漏性脱毛症」の可能性が考えられ、こちらも皮膚の赤みや炎症でその特徴を捉えることができます。
その他にも、毛髪のなくなっている箇所が「本人の利き腕側の前頭部」に位置する場合、やはり抜毛症の可能性が高くなります。「手の届きやすい箇所」がターゲットとなってくる傾向が指摘されていますので、このあたりもヒントにしてみてください。
脱毛症や抜け毛症状は当院の「無料カウンセリング」へ
当コラムでは、「抜毛症の症状や特徴」についてご紹介しました。当院は薄毛治療専門のクリニックですので、抜毛症のケースでは直接的な治療をご提供できませんが、各種脱毛症や薄毛症状については有効な治療法をご提案可能です。随時、「無料カウンセリング」を実施していますので、抜け毛や薄毛にお悩みの患者さまはお気軽にご相談ください。